第14章 珍しいっスね、喧嘩なんて
翌日─
紫苑は琴乃と四番隊に来ていた
「軽い喘息ですね」
「やっぱり…」
「でも炎症も治まっているし、現世に行ってちょっとびっくりしたんだと思います。炎症を抑える薬だしときますね」
薬をもらって四番隊を後にする
「隊長たちに言わなくていいの?」
紫苑は少し考えてから話し出す
「私はまだ平隊員だし、席官だって目指したい。けど喘息のせいで現世任務が減ったり、できないことが増えると席官の道は絶望的かもしれない…。喜助さんが隊長じゃなかったら…言えてたかもしれないけど」
琴乃が思っていた紫苑の考えと、そう違いはなかった
「隊長はそんなことで見切りをつけたりしないよ…」
「うん、でも喜助さん忙しいから…実際診てもらって大したことなかったし、余計な心配させたくないの…」
「紫苑…」
琴乃は何か言いたげな顔をしている
「紫苑が隊長に同じことされたらどう思うの?紫苑に余計な心配させたくないから話さないって…」
「そんなの嫌よ!」
そう言って自分でハッとした
「隊長もきっとそう思ってるよ?」
「うん…」
「他にも理由があるんじゃないの?もしかして…」
琴乃には分かる
紫苑が少し目を伏せるときは大体図星だ
「そんなのないよ…」
琴乃はモヤモヤを消化しきれないまま紫苑と別れた
四番隊も紫苑も大したことないと言っていたけど、私にはそうは思えない…
初めて現世に行ったときより、2回目の昨日のほうが少しだけどひどくなってる
もしかしたら実は、かなり深刻なんじゃないかってのは私の考えすぎなのかな…
「なに辛気くさい顔しとんねん」
急に声をかけられてビクッと体が反応する