第14章 珍しいっスね、喧嘩なんて
「大丈夫だから…」
「やっぱり一度…」
その時2人の伝令神機が鳴る
「早く戻ってこいって…」
2人は穿界門を通り、尸魂界へと戻る
隊長に報告を終え、隊首室を出る
紫苑は琴乃と逆方向に向かおうとする
パシッ─
琴乃の手が紫苑の腕をつかむ
「離して…」
「一緒に四番隊に行こう…」
「行かない…」
「取り返しのつかないことになったらどうするの?!」
「行かないって言ってるでしょ!離して!」
「離さないよ!紫苑が辛いの嫌だもん!」
その言葉に紫苑は抵抗をやめる
「なんやまた喧嘩しとんのか」
「すみません…」
「紫苑も、あんま意地張っとらんと素直になりや」
「はい…」
失礼します、と言って紫苑は瞬歩で去っていった
「紫苑…」
…─
その夜─
紫苑は琴乃の部屋の前に来ていた
戸に手をかける…
力を入れるだけなのに、手が動かない
「紫苑!」
ガラッ─と勢いよく戸が開いた
「琴乃…」
「…中入る?」
頷くと琴乃の部屋に入る
「あの…ね、明日お互い休みでしょ?」
「あ、うん、そうだね」
2人とも少し気まずさがあり、なかなか会話が進まないでいる
「一緒に四番隊に行って欲しいの」
少しの沈黙のあと放った言葉に琴乃はパッと顔をあげた
「紫苑…ほんとに?」
「琴乃の言う通りだと思ったから…」
「わかった!一緒に行こう」
もちろん一緒に行ってくれるのは分かっていたけど、改めて言われるとなんだかホッとした
「ありがとう、琴乃。心配してくれて」
「もう1人、凄く心配してる人がいるよ」
「…うん、そうだね」
喜助さんに話すのは、明日四番隊に行ってからでも遅くないよね…