• テキストサイズ

With me

第14章 珍しいっスね、喧嘩なんて



ひよ里が両手を頭の後ろで組みながら、2人を誉める


「ひよ里さんかっこよかったです!」

「そ、そんなことあらへん……っ」


滅多に言われない誉め言葉にひよ里は照れる


「3体も一気に倒せるなんてさすがです……ケホッ」

「なんや紫苑風邪か?」

「いえ、そんなことは…」


とりあえず終わったんだし早く帰りましょー!と話題を変える紫苑を琴乃は難しい顔で見ていた


「早かったっスね、もうちょっと手間取るかと思ったんスけど」

「ぜーんぜんや。2人とも強かったで」

「いえ、ひよ里さんが切り込んでいってくれたおかげです!」


隊長に報告に上がった3人は、少し誇らしげな表情だった


「他に特に問題なかったっスか?」

「はい、大丈夫ですよ」


すかさず答える紫苑に違和感を感じた琴乃は、隊首室を出て足早に移動する紫苑を捕まえた


隊首室にはひよ里が残っていた


「ところで喜助…」

「なんスか?」

「紫苑…」


その時2人の耳に大きな声が聞こえてきた


「だからなんでもないって!」

「でも…」

「平気だって言ってるでしょ!?」

「だけど!」

「もうほっといてよ!」


その声に驚いた喜助とひよ里が慌てて外へ出る


「ちょお待てや!どしたんや」


ひよ里が間に入る


「…お騒がせしてすみません。でもなんでもないので気にしないでください。失礼します」


冷たく言い放ち、紫苑はくるっと踵を返して去っていく


「ちょっと紫苑!」

「まぁまぁ琴乃サン」


紫苑を追いかけようとしていた琴乃を喜助がおさえる


「珍しいっスね、喧嘩なんて」


喜助は紫苑の去ったほうを向きながら呟く

/ 761ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp