第7章 思い出の日曜日
「さっきは親につい友達って言っちゃったけど…そもそもなんて紹介しよう イルミの事」
「異世界から来た期間限定で一緒に住んでる同居人?」
「…いや、それはマズいでしょ…色々マズい…親が心配する…いろんな意味で…」
「ならミユが言ってた恋人に一番近い男?」
「……それは実質 彼氏ですって言ってるのと同じだから……」
ここまであれこれ考えるのには訳がある。意外にも、美結は今までに実家に異性を連れていった事がないのだ。
父は母に良く似た面差しの美結を溺愛しているし異性交遊のことであれこれ言われるのも心配をかけるのも望む所ではないというわけだ。
今回はあまりにノリで来てしまったと今更ながら困り出した。
焦る美結を他所に新幹線は待ったなしに目的の駅に到着してしまう。美結はイルミに難しい顔を向けた。
「…どうしよう…イルミ…」
「どうしようと言われてもね」
「…緊張する…」
降車駅にてイルミはさっと席を立つ。
「ミユって変わってるね。血縁である親や兄弟に会うだけなのに緊張するってさ。久しぶりに会えるんなら嬉しいんじゃないの?」
「…嬉しくないわけじゃないけど…日本人はその辺照れ屋で素直になれない人種だし…」
「面倒だね ニホンジンて」
「…むしろ超〜意味有り気な形で女のコの実家に行くのに全然緊張してないイルミがすごい」
「仕事でも何でもないしリスクが発生する事をしに行く訳でもないしね」
さらりと言うイルミの後ろでゴクリと固唾を飲み込む、そして広島駅に降り立った。