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〈H×H 長編〉擬似的な恋愛感情

第6章 風邪をひいた土曜日


テレビをパチリとつけてみる。
タイミングよくやっていた天気予報を見ると 本日散々降った雨は明日は上がるとの予報に変わっていた。
美結は楽しそうな顔を取り繕い、イルミに笑顔を向けた。

「明日雨止むんだって!よかった」

「そう。ミユ雨やだって言ってたしね」

「うん。ねぇ明日こそお出掛けしようよ。こういう場所行ってみたいとかしたい事とか希望ある?」

雨は嫌、確かに先日会話の中でそう言った。
話した事をきちんと覚えていてくれる、そんな小さな事が嬉しくなる。

どこに行きたいかとの問いに ころんと首を傾げるイルミの仕草。どうにも可愛らしく思えにんやり目元が緩くなる。いつの間に見慣れたのか自分でもよくわからないが、またやっていると思えるから不思議になってしまう。


「オレはこの世界のことはよくわからないしミユの行きたい所でいいよ」

「そう?ん~どうしようかなぁ……」

ベタに遊園地、水族館、ショッピングモール。
少し羽を伸ばして日帰り温泉、シティホテルのプールと高級ランチ、観光名所の美術館巡り。
一緒に行ってみたい所は漠然とはたくさん浮かぶが 最後の1日を過ごすには何故かどれもピンと来ない、そんな思いだった。

チャンネルをいじりながら考えていると ある画面で美結の手がぴたりと止まった。


「あ……9時から映画やるみたい!みようか!」

「映画?」

「うん。そうと決まれば映画の前にお風呂入っちゃわなきゃねっ」

元よりたくさん汗をかいたし早く入浴がしたかった。
イルミの返事も聞かぬまま 早々入浴の支度を済ませ 「お先に」と言い残しリビングを去った。
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