第5章 勝負合コンの金曜日
「ごめーん 遅くなって!」
「美結おっそい!!」
「だってちょっと残業が…“合コンなので帰りま~す!”とは言えないし…」
仲間たちはわいわい美結を迎えてくれる。メンバーが揃った所で、一行は本日の合コンが開かれる店へと進んで行った。
金曜日ということもあり、街の色は普段より明るく浮き足立っているように見える。飲み屋の勧誘を笑顔でかわしながら 全員を先導するのは幹事の伊織だった。
サバサバした姉御肌の伊織は 外見や性格こそ美結とは真逆と言えるが、それゆえ馬が合うのか 2人は特に仲が良い。
美結の隣は自然と伊織となり、彼女は早速美結に話しかけてくる。
「美結さー 彼氏でも出来たの?」
「えっ 出来てないよ…出来たら伊織には真っ先に報告するってば」
「ふーん?美結ってのめり込むと結構周り見えなくなるしね~。最近全然LINE返さないから本命でも出来たのかと思った」
「別にそういうわけじゃ……」
「昨日だって何回もLINE送ったのに全然返事返さないしさぁ!面倒になって電話しちゃったよ!」
「あはっ…ごめんてば〜」
苦笑いを浮かべる美結を伊織は鼻で笑っていた。