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〈H×H 長編〉擬似的な恋愛感情

第5章 勝負合コンの金曜日


仕事おさめの金曜日。

いつもの時間にセットしてある目覚まし音と同時に、今日はぱっちり目が開いた。

眠った時間は遅かったし金曜日は一週間の疲れも溜まるのだが、精神が休まりきらず眠りが浅かったみたいだ。

「……………」

朝っぱらから美結の頭の中はぐるぐる忙しかった。昨晩イルミとかわした恋人の真似事が夢のように思えるし頭の反対には今夜の合コンの件、週末にはどんなプランでどこへ行こうか、そういえば昨日は持ち帰った仕事を終わらせていない。

どっちみち脳内のキャパシティはオーバー、考えるのをやめた方が早い。軽い伸びをしてからベッドを降り そっとリビングのドアを開けた。昨晩同様に明るい空気を演出する。

「おはよ~!」

「おはよ。今日はちゃんと起きたね」

「うん。なんてったって今日は金曜日ですからー」

「金曜日は早起きの日なの?」

例のスエットを着込んだイルミは 今日も変わらずポーカーフェイス、昨晩の事を意識しているのかもわからなかった。

お互いにいい大人だ、キスの意味を問うなんて面倒な真似をする気はない。美結の方も夜の件には触れず 何食わぬ顔をしながら洗面所に向かい支度を始めた。

睡眠時間は少なかったが 肌の調子はまずまず。
本日は普段よりもアイラインをやや濃いめに引いた。スワロフスキーのチャームが揺れるピアスを付け、しっかり巻いた髪をほぐしながら柔らかい立体感を作る。
身支度を終えると寝室へ向かい、数ある中から洋服を物色した。

「…ん~…」

こう言う時、たくさんありすぎるのも問題なのかもしれない、何を着るべきか迷ってしまった。
可愛らしいベビーピンクのフレアスカートにするか、女子アナ風の清潔感ある装いにするか、少し攻め気に丈の短い黒ワンピースにしてみるか。

「……やっぱコンパは白かな。男ウケするし」

迷いつつもホワイトのコットンブラウスを手に取った。

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