第4章 デートの木曜日
せっかくの空気を壊した原因は美結ではあるが この状況で美結に選択肢を丸投げするイルミをずるいと思い、軽く下唇を噛む。
そして冷静に思い直す、今日は期待度の高い勝負合コンの前夜なのだ。普段であれば高価なトリートメントとパックをして早めに就寝する所。
それなのに、あと数日でいなくなる目の前の男が気になり ペースを乱される事に悔しい思いが立ち込めた。
「…………あっそうだ。イルミ洗濯物しまってくれた?」
「しまってないよ」
「えっ 嘘っ!」
「言われなかったから」
「そうだけど…もお〜出掛ける前にしまってよー!」
美結はバルコニーに足を進め 冷たくなった洗濯物をハンガーごとまとめてしまいこんだ。
「シワくらい伸ばして干して欲しかった…くちゃくちゃ…」
「そうなの?ごめん」
「こうやってさ パンパンして伸ばすんだよー!」
話題をそらし部屋を無理やり明るい雰囲気に戻した。
続きが気にならないと言えば嘘になる。
しかし自分ばかりが主導を作り求めるのも癪だ。
まず前提として、これはあくまでも期間限定の疑似恋愛だったはず。そう思い直し優先順位を冷静に頭に刻み直した。
今からでも遅くないではないか、今宵は未来に可能性のある合コンに尽力すべき。心で自身を叱咤する声が聞こえた。