第4章 デートの木曜日
決して交ざる事のない異世界を経て、理解し合えるはずのない生活環境を持ちながら 何故出逢ってしまったのかを考えると 答えが出なくて仕方なかった。
唯一わかるのは、美結には今の時間が楽しいし イルミにも少しでいいからそう感じてもらいたいと願うことである。
自然と笑顔が戻ってくる。
「……不思議だよね」
「何が?」
「だって私達、他人どころか国も次元も何もかもに接点がないのに。今はこうして同じ景色を見て同じ時間を共有してる」
「オレとしては不本意だけどね」
少しだけ、イルミは肩を落としているように見えた。
こちらが甘い言葉で雰囲気を作っているのに 平気でそれを壊してくれる。いつからかそれも腹立たしくは思わなくなっていた。
美結はイルミの腕にそっと自身の手をかける。落ちてくる視線に得意の笑顔を絡ませた。
「でもさ、今一番 “恋人”に近いのはお互いの存在だよね」
「は?」
「私にはイルミだし、イルミには私でしょ?」
「なんで?」
「だって期間限定ではあるけど 同棲みたいに一緒に住んでるし 今もこうやってデートしてる……違う?」
「そうと言えばそうなるのか」
肯定を指す返答を受け、美結は笑みを深くする。