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〈H×H 長編〉擬似的な恋愛感情

第3章 お料理をする水曜日


服を両手で畳み直しながら 美結は先の予定を思い浮かべた。
金曜は友人との先約がある、土日は今の所フリーとは言え 平日で出掛けられるのは意外にももう明日しかない。

片付けを終えたイルミがリビングに戻ってくる。茶碗洗いの御礼を言った後、美結は単刀直入にイルミを誘った。

「ねえ 明日は外にご飯食べに行かない?」

「外?いいけど」

「わあい!やったあ ありがとう」

はしゃぐ声と両手でのガッツポーズはいかにもだ。イルミは少々首を傾けながら美結を見下ろしていた。

「外食がそんなに嬉しいの?」

「んー 嬉しいよ?美味しいもの食べられるし。……」

一瞬だけ美結は含み笑いをする。そしてこの度ばかりは心から、満面のスマイルを浮かべてイルミに言った。

「でも1番嬉しいのは、イルミとの初デートの方かな!」

「デート?」

「うん。楽しみー」

美結ははにかんだ顔をする。女の子にここまで言われているのだ、多少なり照れてくれてもいいものの イルミは相変わらず、反応は薄くて実にクールだった。

「ミユってなんて言うか、」

「んっ?」

「お気楽と言うか、ホント呑気だよね」

「何それ…どういう意味…?」

素直になれないだけなのか、もしくは照れ隠しなのか。呑気という微妙な感想は消化に困り つい眉を寄せてしまった。


照明がつけっぱなし状態のキッチンへ行く。
うるさい事を言うつもりはないのに 気になる部分が山ほど見えてくる。

「な、なにこれっ…!」

「どうかした?」

「シンクの回り洪水だよ!」

「さすがに水しぶきは防げないし」

「拭いて最後に!あと何で洗った食器 カゴに入れないの?むしろキレイに並んでてこれはこれで面白いけど……」

「ああ、そこのカゴに入れればよかったのか。聞いてなかったから」

「そっか 言わなかった私が悪いね……。わっ まさかホットプレートも丸洗いしちゃったの?!」

「うん。」

「壊れたかも…むしろよく洗えたね…」

イルミとの驚きと発見の日々は もう少し続きそうだ。

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