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〈H×H 長編〉擬似的な恋愛感情

第10章 あなたと私の火曜日


そんな事を思っていると母から無機質な音と共に 甲高い声が響いた。


「……キル!!キルアったら!今度はどこで何をする気なの?あの子は本当に放っておけないんだから……まぁ嫌だわ こんな事していられない」

勝手に会話を終わらせ 足早に廊下を去る母の後ろ姿を見る。
キキョウは何かを思い出したように急にピタリと足を止めた。


「……最近使い始めた遺体処理業者のコネで 新種の毒が手に入りそうなの」

「へぇ」

「アナタには倍盛るよう使用人に命令しておかなくちゃ」

「新種でしょ?さすがに死ぬよ オレも」

「いつまで寝ぼけてるのかしら。死ぬ気でやらなきゃ意味がないわ」

それだけ言うと キキョウは振り向きもせず あっという間に廊下を去ってしまった。



イルミは拷問用に作られた部屋を訪れる。
父の話では弟のミルキがその任を担当するとの話であったが 本人はまだいなかった。

標的を拷問する必要がある場合にこの部屋を使う事もあるし この場所が珍しい訳ではないが、受ける側としてここを訪れるのはかなり久々ではあった。

シルバはこの後に仕事を回すと話していたし 今日の内容は鞭打ちや電気系、派手に身体が壊れるような内容ではなかろうと予測を立てた。

入り口の重い扉が開く音がする。ミルキは巨大を揺らしながら部屋にドカドカと足を進めてくる。

「久しぶり」

イルミは口先で挨拶をする。それに返答はなくミルキはいつになく挑発的にイルミを睨んでいた。

「イル兄タイミング悪すぎ。あと少しでセーブ出来るいい所だったのに…」

「悪いね。邪魔した?」

飄々としているイルミの態度が癇に障るのか、ミルキは口元を意地悪く歪めながら言う。

「パパの命令とはいえ いきなり邪魔されてちょっとムシャクシャしてるから…手加減出来ないかもよ?」

「ミルキが手加減なんかする事あった?」

「ない」

「この一週間殆ど何もしてないし身体の感覚なまってると思うから丁度いい。本気でやっていいよ」

「言われなくても」






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