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〈H×H 長編〉擬似的な恋愛感情

第8章 最後の夜


日々の会話やふとした仕草が何度もそれを物語ってはきたし理解もしている。どうしようもない事やどうにもならない事はこの世にたくさんある、神様がそれを解決してくれると信じ込める程夢見がちな子供でもない。涙を流した所で相手が悪過ぎる事もこの一週間で学習した。

元々重なる筈のない絶対的な距離はどうにもならないのだ。

せめてそれを、身体で埋めて欲しくなる。余計な思考は先程のように全て追い出して欲しくなる。美結は静かな声で告げた。


「イルミ……続きして?」

「もういいの?」

「早く、お願い……はやく欲しい……っ」

「……ミユ ワガママだって言われない?」

「イルミにしか言われない……っ来て、はやく」

「ベッドの上でもおねだり上手だね」

両手を取られ大きな手を重ねられる、指を絡められ それをベッドに固定された。すぐに秘部に感じる熱、顔が淫らに歪んでしまう。

「っ、……あ」

「オレもそんなにはもたないと思うからあと少し頑張って」

「平気っ…優しくしないで、いいよ…っ」

「知らないよ そんな事言って」

「……いいの……っ」

イルミはすぐに律動を始める。再び訪れる抽送に集中すれば期待通りに頭にはモヤがかかる、理性が壊れてくる。

目元がキンと熱くなるが 今はそれをこの激しい行為のせいにしてしまえばいい。揺さぶられる中、美結は必死の声を出す。

「……………一緒にいたいっ」

「…は?…」

「帰らないで」

少しだけ、間があったように思う。この状態で出る台詞など不可抗力として処理出来る。どんな返答も怖くはない。

「じゃあ……オレと一緒に来る?」

「………っ」

曇る視界からはイルミの顔色が見えない。ただその一言が嬉しかったのは確かだ。押し付けられたままの指先で、イルミの手を精一杯握り返した。


「連れてって…………っ」



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