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〈H×H 長編〉擬似的な恋愛感情

第7章 思い出の日曜日


必死の笑顔にはダメ出し、涙は疎ましいと勝手に先手を打ってくる。本当に意地悪な男だと思う、それでも今はイルミの事しか考えられないのだから自分もどうかしている。

平常心を保とうと地面を見つめたまま、美結は数歩でイルミに近付いた。イルミの掌に自身のそれを重ねた。


「……行こうよ、イルミ」

「ホテル?」

「うん。もう無理矢理笑わないし もしかしたらちょっと泣くかもしれないけど………帰ってもほら、私のベッドじゃ狭すぎて大人2人は寝れないし」

「いいよ。わかった」

そっと、添えた手を握られる。
歩き出すイルミに引かれるよう 少し後ろを着いて行った。


「あ」

「…なに?」

「状況的には先導してあげたいけどさ。オレはこの世界のこういう場所のシステムがわからない」

「………それもそうだね」

この後に及んで素直にそう言われると、顔に自然な笑みが戻る。

今度は美結の番。イルミの手を引きその場を歩き出した。


あれから少し歩く。
状況にもよるが 今夜は無難な落ち着いた雰囲気の部屋がいいかと思う。ただこういうホテルは入って見ないと内装はわからない訳で建物の風合と名称から判断するしかない。

ウロウロしていても拉致があかないので 建ち並ぶホテルの中から シンプルで比較的新しそうな建物を選んでみる。

構造や利用手順はどこも似たようなもの、ラブホテルにしてはやや広めのエントランを抜け、奥まった入り口に足を進めた。

薄暗がりに浮かぶ 部屋を示す発光パネルを見る。想像よりも部屋は埋まっているが 空き部屋もちらほらある。部屋の雰囲気を見ながらどこにするかを迷っていると、隣からイルミがパネルを覗き込んでくる。

「ふーん、部屋を選ぶ方式なワケね」

「うん。どこがいいかな?」

「どこでもいいよ」

「…私もどこでもいい。イルミ 決めて?」

「そうだな。じゃあここ」

選択ボタンが押されれば、その部屋が暗く消灯する。一応理由を聞いてみる。





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