第1章 夏休み
今日は朝から体育祭の仕事があって、少し早起きした。
アラームの音に三人も驚いて飛び起きる。
「えっ?何の音?」
「アラームの音だよ。いつもコレで早起きするの」
実弥も興味津々で携帯を見てくるが、私は必死に画面を隠した。
待ち受け画面が義勇の絵だから、バレるとなんて説明して良いか分からない。
テレビの使い方だけ教えて、支度を整えた。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい、お姉ちゃん!」
「行ってらっしゃい……」
実弥は何も言わなかったけど、三人に見送られるってなんか嬉しい。
私は学校に歩いて向かった。すぐ近くだからね。
私は体育祭実行委員であり、軍のパネル製作者の中で副リーダーと呼ばれる。
作業場所の教室に入ると、ウチのクラスでイケメンと言える男の子が居た。
「おはよう」
「おはよー。今日はどうする?」
「とりあえず、このパネルを塗ろう」
こんな私が指示を出しているなんて夢みたいだ。
「奏、なんか嬉しいことあった?」
「えっ?」
「なんか幸せそうだから」
もちろん、パネル製作するのも幸せに感じる。
やっぱり、あの三人組かな。
「遠い親戚から男の子を預かることになってねぇ、すごく可愛いんだよ」
「へぇーそうなんだ」
半年前の私ならこんな未来も想像出来なかったんだろうな。