第9章 音楽祭
そして、次の週から練習は始まった。しかし、みんなはそう簡単には聞いてくれず、朝の練習をサボる人が多かった。
私と無一郎は、既に諦めかけていた。
第2回目の音楽祭実行委員は、来週から行われる音楽祭練習についてだった。
音楽祭練習とは、体育祭練習のように大体午後の授業を潰して行われる。
毎年一番最初の練習では、先生達が無理矢理校歌を歌わされるのだ。数年しか居ない先生にとって鬼畜なイベントだが見ている方は楽しいものだ。
音楽科の増田先生はとても厳しくて、なかなか練習が進まないことでも有名だ。
どうやら、これに関しては音楽祭実行委員は仕事が無いらしい。
だけど、昼休みにステージのところに台を設置しなければならない。意外と面倒だ。
「お姉ちゃん、面倒だね」
「まぁ、そうだね」
無一郎の耳打ちしてきた。確かにそのことは同感だ。
相変わらず、義勇は増田先生に厳しい指導を喰らっている。朝は早くから行って、放課後も遅くまで残って練習している。
あの無口な義勇が自分から指揮者になりたいと言ったんだ。さすがに私もびっくりだ。
私と無一郎は頑張って音楽祭実行委員の仕事をした。
サボる人が多いけど、たくさん練習させた。
金賞取れるといいなぁ。