第7章 夢の世界
「えっ、白?」
「ここまで真っ白なのは初めてですね」
胡蝶さんがそう言った。
体育祭、三年連続白軍だったからかな?
それとも、あの人のイメージか……。
「でも、すごい……お館様、ありがとうございます!」
「いや、奏が喜んでくれて嬉しいよ。さて、本題に入ろうか」
お館様が嬉しそうに話した後、急に真剣な話に変わった。
「彼らは鬼殺隊に戻らず、君を一生守り抜くと決めている」
「えっ、そんな……」
それでは、ストーリーも全て狂ってしまう。
だけど、本当は一緒に居たい。
学校内で完全なる人権を失うのとは訳が違う。
それでも、彼らには彼らの人生を生きてほしい。
「彼らが幸せに生きていることは私の願いです。出来れば、戻ってちゃんとやるべきことをやってもらいたいのです」
すると、お館様は微笑んだ。
「奏、君は偉いよ。自分より他人の幸せを願っている。自分を苦しめた人にさえも願っている」
お館様の言葉が私の意を射た。
まだ大好きなあの先輩の幸せを願ってしまっている。分かってるんだ。未練がましいって。