第1章 夏休み
着いた場所は私が住んでるところで最も大きいとされるショッピングモールだった。
「デケェ……」
さすがにあの実弥も固まっている。
こんな大きい建物なんて見たことないもんね。
「みんな離れないでね。めっちゃ人多いから」
「迷子になるわけねぇだろ」
そう言っていた実弥だが、中に入るとまた固まってしまった。
「実弥、硬直しないで早く歩いて」
「あっ、はい……」
急に返事が素直になって驚いたが、こんなすごい物を見せられたら反応も出来なくなるのかな。
カッコいいメンズの服が売ってそうなところに入った。
「無一郎はコレとコレかな」
裾が長めのTシャツとフード付きのパーカーである。
「秋に着れるように先に買っておこう」
「えっ……」
後ろでお母さんのガッカリとした声が聞こえた気がした。
「実弥はけっこう候補はあるんだ。コレとかコレとかコレ……」
一番悩んだのは義勇だった。
「義勇はコレなのか……えっと、うーんと……」
「無理に選ぶな」
義勇はそう言われたけど、さすがに現代社会を生きていく上でファッションは大事でしょ。