第5章 柱辞めます
三人は同時に目を覚まし、真ん中で眠る奏を愛おし気に見つめる。
「コイツの残酷な過去、想像出来ねぇ」
実弥の言葉に無一郎と義勇も頷く。
彼女が抱えてきた過去とは、一体どれほどの物だろうか。
自分も嫌われ者だったという言葉が引っ掛かる。
「コイツはどうせ俺達の過去を漫画ってヤツで知ってる。なら、俺らにいつか教えてくれるんじゃねぇかぁ」
実弥の意見がとても誠であった。
「そうだな」
義勇はそう言って頷いていた。
奏の部屋に入って暇を潰す三人。
無一郎が手に取ったのは、日記であった。
開くと、鉛筆で殴り書きをしてビリビリに破れたページがある。それはもう読めないほどボロボロだった。
「お姉ちゃん、相当病んでる……」
考えもしなかった姉の実態に、皆は唾を飲んだ。
「読まない方が言いだろう。直接本人に聞いた方が良い」
義勇の言葉に無一郎は日記を元の場所に戻した。