第3章 体育祭
ついに来た閉会式。
競技部門で賞を取れても嬉しいとは言えない。夏休み中、頑張って描いたパネルでも賞を取りたい。
校長先生が台に上がって発表する。
「パネル賞一位、黒軍。二位、紅軍。三位、黄軍」
一番取りたかった賞で選ばれなかった。悔しくて、知らない内に涙が零れていた。
涙は我慢だ。
「競技部門一位、白軍!」
わかってたけど、嬉しい。一位と言われると嬉しくなる。
「総合優勝、白軍!」
それで、更に涙が溢れた。
総合優勝を取れるということは、パネルにも価値はあったということだし、何より一位というのが嬉しい。
長い閉会式が終わり、解団式となる。我慢していた涙が溢れた。
「奏、泣くな」
実弥はそう言って、私の頭を撫でた。
嬉し泣きでも悔し泣きでもある。長男だからこそ、何かを察してくれたのだろう。
「えっ、お姉ちゃん泣いてる!」
無一郞の声に白軍のみんなが振り返る。すると、みんなが集まって、お疲れ様と慰めてくれる。
私、ちゃんと変われたんだな。ちゃんと、生きてるんだな。
「奏、泣くなよ!お疲れ様!」
団長がそう言って笑って、解団式は、体育祭は、幕を閉じた。