第3章 体育祭
『五分休憩後、大玉送り予選をやりますので、準備しておいて下さい』
アナウンスが聞こえて、私達はテントに並んでいる自分達の椅子に座る。
「今気付いたが……奏、血が出てるぞ」
「えっ?うわっ!」
義勇に言われて、私は自分の足を見た。大きなかすり傷で、血が少し出始めていた。綱引きで引きずられたからだろう。
「クソッ……奏、行くぞ!」
「へっ?えー!?」
なんと、実弥にお姫様抱っこをされた。実弥は軽々と私を持って救護所へ走って行く。
「はっ、恥ずかしい……」
「うるせぇ!黙ってろ!」
実弥は現代の漫画にめっちゃハマってて、特にヒロアカの爆豪君が気に入ったようで、口の悪さがもっと酷くなったのだ。
そんなこと回想してる暇じゃなくて、この状態で居るの恥ずかしいよ!
「おい!怪我してんぞ!」
実弥は救護所に居る人に向かって言う。
「いや!そこまで酷くないんで!」
私は慌てて訂正した。
そして、処理をしてもらって、実弥と一緒に戻る。
「ったく、テメェは危なっかしいんだからよ」
「ああ……ごめん」
実弥の言葉に私は呟くように謝った。
すると、実弥が私に手を繋いできた。
「へっ?どうしたの?」
私がそう聞いた時、彼の顔は真っ赤に染まっていて、それに気付いた私も顔を真っ赤にした。