第3章 体育祭
暑い中、応援練習や予行練習などを乗り越えて、体育祭当日。
この暑さの影響もあり、たくさんの競技が削れてしまう。と言っても、PTA種目と得点にならない一、二年生のリレーだけだ。
今は、急いで支度をしている。
「お姉ちゃん、髪結わんで!」
「ハイハイ」
私は無一郞の髪をポニーテールに結んであげた。さすがに体育祭で髪は下ろせないからね。
「戦うっていうなら、やってやらぁ!!」
朝から実弥は早くに支度を済ませて意気込んでいる。
「義勇は髪を高く縛らないの?」
「……」
出た。義勇の無言。これじゃあ何も伝わらない。
「こんな時に説教するのは悪いけど、ちゃんと話さないと誰にも伝わらないからね!この現代社会、いや、大正時代でも同じよ。人と人が居る社会がある限り、話すことはとても大切なことなんだよ!」
義勇の弱点、言葉が足りない。だから、小説を読ませておいた方が良いのだが、現代文法と漢字を理解し終えてない義勇には無理な話である。
私は自室に行き、本棚から好きな文芸小説を取り出して、リュックに入れた。
時間的にそろそろ行かないと、私の委員会が不味い。
「行ってきます!」
四人で学校に向かった。