第1章 夏休み
「家族なんだから名前で呼ぼうよ」
「ああ!?ふざけんなよ」
「実弥、お黙り」
「俺は犬じゃねぇ!」
実弥が私の提案にキレていた。そういう性格だよね。
「僕だけ変わってないし、お姉ちゃんって呼んでいい?」
お姉ちゃん!?可愛過ぎる!?
そう言えば、無一郎くんは14才だもんね。
「僕は無一郎でいいよ」
「俺も義勇で」
「クソッ、仕方ねぇなぁ。実弥でいい」
なんとか成立して良かった。
「じゃあ、部屋を出ようか」
私は彼らを連れて、キッチンに向かった。
既にテーブルには弟を含めて五人分のご飯が並べられていた。
「うわぁ、美味しそう……」
「スゲー時代差を感じんなぁ」
無一郎と実弥が目の前の食卓を見て呟いた。
鬼滅の刃の舞台は大正時代。彼らにすれば、令和という時代は未来であるのだ。
ご飯と味噌汁と目玉焼きは普通だが、フライパンもない時代だと言うなら目玉焼きに驚くこともあるだろう。
「いただきます」
みんなで手を合わせて、ご飯を食べ始めた。