第1章 夏休み
やっぱり本物かぁ……!
というか、推しが目の前に居るって最高の眺めだ。
「なんか騒がしいけど……何、この人数は?」
お母さんと弟の空が部屋に入ってきた。
三人は私の親だと察したのか、少し強張っている様子だ。
「お母さん、信じられないかもしれないけど……」
アニメの世界で敵に魔法を掛けられて、気付いたらここに居たらしい、とお母さんに言った。
「えっと……どうするべきかなぁ。奏、この子達と家族でありたいというならお母さん達も協力するわ」
「お母さん……」
いつ血界術が戻るか分からないし、その間はどうして良いか分からない。
だけど、一緒に住めば良いんだ。
家族として……。
「お母さん。私、頑張るよ。三人の保護をお願いします」
私が頭を下げると、三人も頭を下げた。
「じゃあ、朝ご飯作ってくるから待っててね。五人分って難しいなぁ……」
お母さんはそう言って、私の部屋から出て行った。
「良かった……。三人共、よろしくね」
「仕方ねぇなぁ。いつ戻るか分かんねぇし」
彼らにとって、ここはホテル程度の物だと思われているかもしれない。
家族らしいこととは……。