第2章 新生活
校長先生はそう呟いて、頭を悩ませている様子だった。
考えは固まったのか、隣に座る担任にアイコンタクトをして、笑顔でこちらを見た。
「彼らの入学を許可します」
校長先生の言葉に私は目を見開いた。
「鬼を倒すためだけに生きてきた彼らに、現代の年相応の暮らしをしてもらいたいんだ」
彼らが15の時はどうしていたのだろうか。
無一郎はこれからどうなっていたのだろうか。
きっと壮絶なことになっているだろう。
鬼のせいで大切な者を失って、どれだけ辛かっただろうか。
せめて、この世界に居る間だけでも幸せに生きてほしい。
私は立ち上がり、頭を下げた。
「ありがとうございます。精一杯彼らの教育を専念したいと思います」
「いやいや、そんなに改まらなくて良いよ。七瀬さんは受験勉強に専念しないといけないから、私達も少しは力になれるように頑張らせてもらうよ」
想像以上の校長先生の優しさに、心がほっこりとして泣きそうになった。
「放課後、三人を連れて来て下さい。サイズ合わせをしたいので」
「はい!」
夢にまで願っていた彼らとの学校生活が目の前にあると思うと、何もかも頑張れる気がした。