第1章 夏休み
昼食を食べ終えて、宿題をしようと部屋に入ると、義勇が私の服の裾を引っ張っていた。
「俺、嫌われてるのかな」
15歳の姿のせいか、純粋に可愛い。
じゃなくて、相談に乗ってあげないと。
「義勇、こんな私も嫌われ者だったよ」
常にありもしない噂で笑われ続けた。
いつも死ねと言われて生きてきた。
毎日死にたいと思って生きてきた。
今年になって、こんなにも世界が変わったのか。
「とりあえず、笑顔で居ることが大切だって知ったよ。明るく誰かと接して居れば、人と関わって来ようとするから」
「笑顔……?」
「うん。私も笑顔で居たら変われたよ。だから、体育祭実行委員もやれてるんだよ」
アニメという趣味を得て、趣味が同じ物同士で笑って話していた。
画力を上げると、更に人は私を称えるようになった。
パネルリーダーに推薦されて、体育祭実行委員として活動するようになったんだ。
「義勇、笑って。笑う人を嫌う人なんて居ないから」
頭を撫でてやると、義勇は幸せそうに笑った。
「姉さん、ありがとう」
「うーん……義勇には名前で呼ばれたいな。さっき漫画とアニメ見たでしょ?あのアニメの中で一番大好きなのは義勇だからさ」
すると、義勇は微笑んだ。
「ありがとう、奏」