第2章 あれ?私悪くないよね?
「…………」
今、なんと。
口を開ける私に「え?そこ黙るの?」と
真顔で問いかける。
「そ、それはどういう意味で…」
「俺が必要ですか?必要じゃありませんか?
て、ことじゃない?」
「じゃない?って…」
まだ状況も何も掴めない私に
「はい、か、いいえ」
と選択肢を振る彼はやっぱり偉そうで
どちらが優勢かわからない。
確かに今、
『 隣にいてあげる 』と言った彼。
あれ?まさかこれは
彼の新しいいたぶり方なの?
もしも、もしも今のが
"そういう"意味だったら
世の中の男子は皆こうな風に淡白なの?
いや違うよね、たぶんもっと優しくて
君が一番だよ、好きだ、愛してる、
とかなんとか付け加えるはずなのに
その意味を浅く受けとればいいのか
自分の期待した方で受けとっていいのか
彼の様子を伺っても
真剣な表情しかくれない。
「……あ、え、あの」
「何?はいしか聞こえない」
強引なそのセリフに
バカな私は尋常じゃないくらいの心拍数。
「………な、嘘、また、からかって、はは」
目の前の日本酒を
ソフトドリンクのように煽って
この気持ちを静めようとしたけれど
逆効果で、ただ酔いも出来ずに
ドクドク、その音だけが。
「つまんない嘘をつく趣味はない、
でもってわざわざ面倒な恋愛に
足を突っ込む暇もない、けど」
「一緒にいたいと思ったのは今日も」
言葉を言いけた彼が
視線を逸らして口を閉じた。
しばらく待っても沈黙が続いて
待ちきれない私が
「つ、続きは…」
「読み取って」
「お願いします、お願い致します」
「言うか、絶対言わねえ」