第1章 〔蛇〕の異能力者
人混みを、歩いていた。
さる都市、ヨコハマ。
其処は多くの人々で溢れかえり、流石栄えている街の昼時だという印象だ。軽く思考を巡らせていると、此処には百、二百の命が充満しているであろうことなど、私は一寸マイナーな考えに至る。
………こんなことを思いつくなんて、今日も『私は人間と違う』ということを自分の中で感じていたいらしい。
自分が平凡な思考でないことはもうとっくに判っている。
此れからしようとしていることが、おもしろいと思って出向いていくのだから。
私は自身の目的地へと向かうため、硬めの足音を響かせる。
……矢張り多く目につくのは、人混みの凄さや其れによる五月蝿さだろうか。
そして
先程も考えていた、此処を一番埋め尽くしているモノがある。……其れは『人間』。私が『自分とは"違う"と考えている生き物』だ。
何故か。其れは私は『化け物』だから。
人より破壊的な力を持ち、殺すことを厭わない。人とは違う血の色をしていて、早々に死ぬことがない。
そんな自分を、私は『化け物』だと認め、人外面している。
『化け物』は、人間の集う宿り木に狙いを定めた。