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【文スト】『人間』になる瞬間。

第2章 武装探偵社にようこそ


二人が戻ろうとした、其の瞬間。
数十人の武装された男達が民間の人々を人質に、銃火器類を突きつけて、ゲリラ的なテロが展開されていった。

辺りは銃火器のカチャカチャとした音を除いて、一気に静まり返ることとなった。
ほかにも一つ、呼吸の音も佳く聞こえていて、早くも束縛されてしまった人間もそうでない人も恐怖と混乱の気持ちでいっぱいだ。

「今から一時間の間に一億を持ってこい!どんな奴の金だろうが構わん。兎に角一億だ!変な動きを見せたら直ちに撃つからな」

リーダー格の男が公道のど真ん中で、警察に通報しようとしている人や、街に連ねている店の人間たちに威嚇するように叫ぶ。
……人々が怯む。空気が強張っている。

その間にも太宰は軽く考えを立てていた。分かることの一つは、奴等はどうやら汚い金でも綺麗な金でも何でもいいらしいということ。一体どうやって此の場を切り抜け、テロリスト達を拘束するか。
太宰は直ぐ隣に居る女性をちらりと横目で見た。

===

人々が目を着けたのは、一億という大金。
そんな大金を今すぐ此処に用意出来る筈が無い、と彼等の顔は暗くなる。走って逃げ出そうにも、道は数人の反乱者によって塞がれていた。行けば撃たれて死ぬのは明らかに分かることだった。

「却説、どうするか……」

ぽつりと太宰がつぶやく。其れは此の状況の打開策を練っているように見えた。

すると、悪塗が反乱者のリーダーの男めがけて歩いていった。迷いの無い、何も恐れていないとでも云うような表情で、むしろ余裕の笑みすら少し見えた。

「治。あいつらは私が請け負う。お前は…」

「おい!下手に動くな。其れ以上進めば、撃つぞ!」

悪塗の声にかぶさって男が叫ぶ。銃口を向けられている当の本人である悪塗は特に気にすることなく、呆れたような表情をしている。

「其れが何だ」

異能力【―襲蛇眼―】‼
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