第1章 さよならも言えずに
『出逢いとか経緯とかは省いて説明する。
数年前からある人と同棲してた。
それこそ大和と連絡しなくなった数年前から。
その人忙しい人で、家に居ない時間とか多かったから、基本的に私が家に居て家事だったりとか家の事やってたの。
一緒にいる時間にご飯食べたり話し合ったり、身体重ねたり。
そんな普通の事してた。
別にその生活に不満はなかったと思う…私は好きだった、から。
でもそれが何年も続いて、ふと、あれ、私達恋人…じゃない、って気付いた。
だって好きだって一度も言われた事がなかったから。
同棲したのだって、彼はもう誰かを失って悲しむ所見たくなかったからで、別に彼に一緒に居て欲しいと言われた訳ではなかったんだ。
そこからはもう負の感情に支配されちゃって…耐えられなくなって遂に今日聞いちゃったの、本人に。
私のこと好きか、って。
そしたら彼、凄い驚いた表情してて…数年間一緒に居たのに初めての表情だったなぁ。
それでね、彼の答えが僕達はそんな関係じゃないだろ、これからも変わらないって言われちゃって…。
彼が寝付いたの見計らって逃げたしちゃった、って訳』
「「………」」
あれ、なんで無言なの?
粗方話終わったんだけど…みんな固まってるし。
『粗方こんな感じだけど』
「あーー…んで、走ってたらあそこに居て、びしょ濡れだったのな。
いやー…お兄さん、ちょっとオコになりそうだわ」
『え、なんで』
「なんでって…お前なぁ…」
「許せませーーん!こんなビューティフルガールをっ…むぐぐっっ」
「はいはい、ナギは少し落ち着け。
まぁ、許せないのは俺も同感だけどな。
やる事やってそうゆう関係じゃないとか…本当に男かよ」
「男として…いえ、人間として終わってますね」
「大人って怖ぇえ」
「環君、これは一部の大人であって、間違ってもそうゆう大人になっちゃダメだよ」
「お姉さん!気にしちゃダメです!男なんてこの世にたくさんいますからっ」
ここの子達はみんな優しい子たちなのかも。
このタイミングで大和に会えて…良かったなぁ。