第1章 さよならも言えずに
え、なんかカラフルで個性豊かな面子がゾロゾロと出て来た。
しかも赤い髪の子からタオル渡されたので、一応受け取ってけど…何、大和の仲間…?
「おー、すまんすまん。
ちょっと知ってる顔が変な狼に食べられちゃいそうになってたんで、お兄さん助けちゃったわ」
「ヤマト!ヒーローですね?!」
「ヤマさん、かっけぇー」
「それより先にこの男性をどうにかしなければならないのでは?」
黒い髪の子の言う通りである。
この子達が騒がし過ぎて存在を忘れられた男。
その男も彼等の存在に気を取られていたのだろうか、自分に全ての視線が向けられビクっとしていた。
「い、いや、俺…もういいです、すいませんでしたーーーーっ」
あれ、逃げた。
まぁこんな大人数に囲まれたら逃げるか、普通。
「ふぅ、これで一旦落着だな。
さて、と…何年も連絡してこない奴が、なんでここに居るのか、説明してもらお…っておい」
あぁ…なんだろう、知り合いの顔を見たせいか。
身体の力が抜けて…あれ意識も…。
大和の声が遠くに聞こえて…そしてプツっと途切れた。