第1章 さよならも言えずに
『…わかった…』
大和は普段おちゃらけた感じがあるが、周りをよく見ているし考えもしっかりしてる大人なのだ。
こういった真面目な時に彼は譲らないし、言っている事が正論であったりする。
私より1つ歳下なのに…しっかりしてて敵わないなぁ。
「よしっ、素直なのは良いトコだな。
さて、目的は1つ達成した。
次は風呂だな」
『あ、忘れてた』
「お前なぁ…とりあえず下着はないから風呂入ってる間に洗濯して乾燥機かけろよ。
服はこれな」
渡された服を見てジト目で大和を見る。
ニヤニヤしてる時点で何か良からぬ事を考えて渡したのは分かっていたが…。
『大和、私に萌えとかそうゆうのいらない』
「お前さん何言ってんだ!いつの時代になっても、彼シャツは男のロマン!憧れだろっ!」
『…眼鏡光ってる…力説キモい』
キモい、その一言を聞いてガクッと項垂れた大和。
「おまっ…キモいって…。
流石のお兄さんも…メンタル粉々だわっ…」
『でも…ありがと…。
着させてもらぅ…』
なんか少し照れ臭くなってしまったので、小声になってしまったが、お礼は言った、偉い、私。
ちゃんとそれが大和の耳に届いたのか、フッと笑って頭の上にポンと手を置く。
「んじゃま、風呂場まで案内すっから、ちゃんと言われた通りの事して、あったまれよー」
そんなこんなで、お風呂場まで案内してもらい、大和は退散。
私は洗濯を回して、ゆっくりお風呂を堪能させてもらった。
…良いお湯だった、身体乾いてたものの雨に濡れて冷えてたから本当良いお湯だった←
そして現在乾燥待ちです。
大和から借りたこのブカブカのシャツを着ている他何も着ていないので、正直早く乾燥させて乾燥機。
この格好で誰かと会ったら…そう思うとそわそわして、乾燥機の前をぐるぐる回っている。