第1章 さよならも言えずに
『あ、ごめん…入っていいよ』
コロンと寝転がった体制から起き上がり布団の上にちょこんと座る。
ドアが開き、手に充電器を持った大和が入ってきた。
「お前さん、昔からビビりな所は変わってないのな」
そう言う大和は若干呆れ顔だ。
確かに大和の言う通り私は昔からビビりなのだ。
怖がり、ではなく、ビビり。
ホラーとかスプラッター映画とかそうゆうの全然平気なのだが、無駄に効果音とかデカくて驚かせにくるやつ、ビクッとする、そうゆうのに弱い。
お化け屋敷も平気だけど、いきなり来るとビビる、それが私。
だって心臓に悪いでしょ。
そしてそれを知っている大和に、昔よく驚かせられたのを嫌なくらい覚えてる。
まぁ…昔の事だけど。
『大きな音とか突然音がすると驚くだけだし…』
「はいはい、まっ、そーゆう所も可愛いと思うぞ」
ニヤニヤした顔で言われても説得力がありませんよ、大和さん←
「…愛音…大丈夫か」
『急に真剣な顔してどうしたの?大丈夫かって、何が』
「お前さん、1人になるとかなり考え込むタイプだったろ。
今1人になって、その出てった男の事色々考えてたんじゃないのか?」
『……』
図星で何も言えない。
確かに昔からポジティブ、な思考ではなかったのだ。
頭が良い分、考えて考えて…どんどん深みにハマっていく。
なかなか直らない悪い癖なのだ。
「はぁー…やっぱりな。
充電器持ってきたが…コイツはお兄さんが預かっておく」
そう言い、布団の隣に置いてあった端末をヒョイっと大和に奪われた。
『えっ、ちょっと…返し』
「ダメだ。
そいつから連絡が来ても来なくてもお前さんは考え込んじまうだろ?
そんなんこれからの生活に悪影響だ。
だから暫くは俺が預かるからな」