第6章 夢の中
「よし、柊の所に行こう。」
「え、何しに?」
「何しにって・・・謝りに行くに決まってるだろ。それに、あいつも告白するのにかなりの勇気がいったはずだ。それを無かったことにするのは酷いと思うぞ。」
「・・・そうだけど。」
上手く話せない気がする。
それに、付き合えないのは事実だ。
どんなに両想いでも、僕が兄さん以外の人と関係を持つのはダメだ。
「とにかく、謝りに行こう。このままじゃ良くない。付き合えない理由も言わなくてもいい。でも少しは話してみるのがアイツのためでもあるし、お前の為でもあるんじゃねぇの?」
「うん・・・わかった・・・」
仁が僕の手を引いて教室に戻る。
「俺はお前らがギクシャクしてるの嫌なんだ。冬休み前みたいに仲良くしたいし。」
「うん、僕も・・・ごめんね。」
「放課後、カラオケな。席替えの分と今の分。それで許してやるよ。」
「・・・ありがとう。」
教室の前に来ると急に緊張してきた。
柊はつまらなそうに皆の話を聞いている。
「ほら、行ってこいよ。周りの奴らは俺が相手しとくから。」
「うん・・・」
僕は深呼吸をして教室の中に1歩入る。
その瞬間、柊と目が合い、お互い数秒見つめ合った状態になった。
柊の元へ歩き、手を取る。
「話・・・あるんだけど・・・」
「・・・うん、俺も。」
柊を旧校舎裏まで手を引いて連れてきた。
ここなら誰もいない。
許してくれるかな・・・
「柊、告白・・・無かったことにしようなんて言ってごめん。」
「俺も、綾斗の気持ち考えて無かった。ずっと連絡して迷惑だったよな。」
「ううん、僕が悪いんだ。ちゃんと柊に話さなかったから。」
柊に話すべきだよね・・・でも・・・
全部は話せない。
「綾斗・・・付き合えないって理由聞いてもいい?」
「・・・うん・・・」