第6章 夢の中
教室の扉を開けると、皆自分の席に座りガヤガヤしていた。
「矢野、早く座れ。」
後ろから頭をバインダーでポンと叩かれる。
「はい。」
自分の席に歩いて向かう。
「おはよ・・・」
柊が一言そう発した。
「お、おはよ。」
けど、それ以上は何も言わずにいつも通りに朝礼を受けていた。
席替えをする為、クジ用の紙切れが回ってくる。
開くと番号が書かれていて、黒板に書かれた席と見比べる。
「それぞれ自分の席に移動してくれ。始業式の後は新しい席で受けるように。」
僕は荷物をまとめ、皆が動き出したのを確認して、席に向かう。
また1番後ろの席だ。
良かった。
すると、柊が僕に付いてきた。
「どうして付いてくるの?」
「俺もそこだから。」
また隣だ。
どうしよう。
このままじゃ・・・
キョロキョロ辺りを見渡すと仁が目の前に見えた。
真ん中辺りか。
この席から左斜め前の席。
そんなに遠くはない。
隣は女の子。
「仁!席変わって!」
「え、どうして・・・」
「お願い!帰りに何か奢るから。」
「ノった。」
「ありがとう!」
「1番後ろじゃん。・・・てか隣柊だし。・・・お前らまた何か・・・いや、いいや。ほらよ。」
仁が座席番号が書かれた紙切れを僕のと交換する。
交代した席に座る。
「よろしくね。」
「や、矢野くん!?う、うん!////」
笑顔で話しかけると顔を赤らめて頷いてくれた。
仲良くできるといいけど。
話したことないから不安だ。
「でも、どうして仁と交代したの?」
「うーん・・・この席がいいから。」
「そ、そっか////」
適当に理由を答える。
この席見やすいな。
案外、先生から見えにくい場所かも。
席はどうにかなった。
これからどうしよう。