第6章 夢の中
「あけおめー。」
「おひさー、おめでとー。」
短い冬休みが終わり、年が明けて新学期が始まった。
あの後、結局柊とは何も話さなかった。
通知を切っていたため、メッセージが来ていたかも分からない。
今日は柊と会うのが気まずくていつもより早い電車に乗った。
「お!綾斗おはよ!柊は?」
「仁、おはよ。今日いつもより早い電車に乗ってきたんだ。」
「珍しく別か。クリスマス一緒だったんだろ?」
「うん。」
SNSに写真投稿したから皆知ってるよね。
柊はまだ来てない。
「あ、そういえば今日席替えだな!」
「あ・・・そっか。」
柊と隣も最後か。
気まずかったからちょうど良かった。
「柊くん!おはよ!」
クラスの女子が騒がしくなり始めた。
「おはよ・・・あ、綾斗・・・」
柊が教室のドアから入ろうとしてるのが見えた。
「ごめん、僕ちょっと用事ある。」
「お、おぉ・・・」
仁にそう伝えて僕は教室から出た。
「綾斗!待て!」
柊が引き止めるのを無視して僕は走ってその場を離れた。
気がついたら裏庭に来ていた。
誰もいないから居心地いい。
僕はベンチに腰かけ溶け残った雪を眺める。
まだ寒い。
春まで長いな。
春になれば最後のクラス替え。
また友達できるかな?
ポケットに入っている携帯を取り出し、通知をONにする。
柊からは大量のメッセージが来ていた。
少し焦っている様な感じだ。
何度も話したいと送られてきている。
僕だって話したい。
一緒に遊びたい。
デートだってキスだってしたい。
付き合いたい。
でも、できない。
「苦しい・・・」
また息がしずらくなってきた。
ストレスから来ているのかもしれない。
頭痛も酷い。
しばらくボーとしていると予鈴のチャイムが鳴った。
教室に戻らないと。
柊は僕の隣。
戻りたくない。