第6章 夢の中
「じゃあまた春休みに帰ってくるよ。」
「うん、気をつけてね。」
兄さんがキャリーバッグを持って搭乗口に向かう。
これで解放される。
もう兄さんの事気にしなくていい。
ピコン
ポケットの中から携帯の受信音がなった。
『ずっと見てるからね。』
兄さんからだ。
その言葉が見えた瞬間全身に鳥肌が立った。
兄さんに見られてる。
ずっと。
僕は逃げれないんだ。
「綾斗ー?」
「へ?」
「どした?ボーとして。」
「ご、ごめん!」
そうだ、今日は柊の家に来ているんだった。
課題ももう少しで半分終わる。
「これが終わったら休憩するか。」
「うん。」
本当に家に誰も居ないんだ。
僕達は集中して課題を進める。
部屋には時計のチクタクと秒針音が響く。
「終わったぁぁ!」
「まだ半分だけどね。」
「一日でこの量は頑張った。今日はもういいだろ。次いつ空いてる?」
「いつでも空いてるけど・・・また明日会う?」
「おっ!じゃ明日な。」
柊がベッドに仰向けになる。
相当疲れたみたいだ。
僕は鞄からお菓子を出した。
「食べる?」
「いる!糖分大事だよな!あーん。」
「じ、自分で食べなよ!////」
「いいじゃん。ケチ・・・俺疲れちゃったんだけど。」
あーもう!
ほんとに・・・ずるい・・・
僕は袋を開け1つ柊の口に入れる。
「うま・・・」
「そう・・・////」
「・・・綾斗さ・・・その・・・今まで付き合った子とかいるの?」
「え?!いないよ!?」
急に何の話してるの・・・
「そっかぁ・・・綾斗の恋バナ聞きたかった。じゃあ、今好きな人は?」
「・・・いる・・・////」
「は!?まじ!?」
はぁぁ!?何言ってんの僕!!
馬鹿馬鹿!
「どんな子!?」
「い、言わない!////」
「はぁ・・・ケチ。」
「う・・・優しい・・・人・・・////」
そう言われると言わざるを得ない・・・
「それだけ?」
「・・・初めは一目惚れ・・・でも知っていくうちに・・・もうこの話は終わり!!」
「えー・・・知りたかったのに・・・」
「知ってなんの得になるの・・・」
「うーん・・・まぁ・・・ちょっと気になったから・・・////」
何その反応・・・
顔真っ赤・・・
「可愛い・・・」
「え?」
は・・・しまった・・・つい・・・