第5章 幸せな時間
時刻は20時前。
今から電車に乗ったとしたら22時頃になるな。
「じゃあ、そろそろ僕達帰るよ。」
「え、もう?」
柊も僕の言葉に合わせ立ち上がる。
「明日予定があって。」
「俺も予定ある。」
「泊まっていけばいいのに。じゃあな、2人とも気をつけろよ。」
あっという間だった。
ゲームにケーキに・・・馬鹿したり。
こんな事するのは初めてだったから、もっと続けばいいのにって思った。
「楽しかった?」
「うん、罰ゲーム何度も食らったけど、すごく楽しかった。」
「じゃあ、明日はそれ以上に楽しもう。」
「うん・・・////」
そうだ、明日は柊とデート。
楽しみ。
服装も髪型も考えないとだから早めに起きないと。
駅まで歩いている時、僕の携帯が鳴った。
兄さんからの電話だ。
今日は自由にしていいって約束だったのに。
「柊、ちょっとごめん。」
「あぁ。」
「もしもし?」
『綾斗?まだ帰らないの?』
「今から電車乗るところだよ。どうしたの?」
『・・・SNS、見たよ。』
その言葉を聞いて全身が凍りついたように固まってしまった。
「み、見たって・・・」
声が震えて上手く話せない。
柊もそれに気づいたのか不思議そうな顔をしていた。
『可愛いじゃん。・・・あんなの載せちゃ駄目でしょ?』
「ご、ごめんなさい・・・あれは罰ゲームで・・・」
『あっそ。する分は何も言わないけど、誰が見てるかわかんないんだよ?今回は許すけど、次はないよ?』
「はい・・・ごめんなさい。」
電話がプツっと切れ、プープーと音が流れる。
「あ、綾斗・・・今の電話・・・もしかして家族・・・」
「帰ろ!じゃないと遅くなる!」
話を避けようと柊の言葉を無視する。
「綾斗!」
だが、それも腕を捕まれ解いた出される。
話したくない。
柊に話したら兄さんは・・・
「・・・何も無いから。早く帰ろ。」
「綾斗・・・」
僕は柊の手を腕から解き駅に向かって歩いた。
「柊には関係ないって言ったでしょ?ほら、明日早いから帰ろ?」
「・・・うん。」