第4章 僕の従兄弟
「なぁ、もういいだろ?」
柊の好きな人を散策して10分が経過した。
僕達は自分達と同じ学年を組まなく探したが、特に見つからなかった。
柊もこれ以上はやばいと思ったのか僕達を止めにかかってきた。
「あ!ねぇねぇ!仁!あの子とかは?」
僕が隣のクラスで見つけた女の子を指さした。
さっき言ってたタイプと重なる。
「ほうほう。中々可愛い。」
「あの子か・・・」
「ち、違ぇよ!ほらもういいだろ!?授業始まるし!」
「怪しい・・・」
「ほんとに違う!」
「ふぅん。」
僕達がしばらく廊下で揉めていると、女の子が声をかけてきた。
さっき見つけた子だ。
「えっと私に何か・・・?」
可愛らしい声で上目遣いをしてくる。
僕よりも身長が低い。
確かにこれは柊も好きになる訳だ。
「ご、ごめんね!何も無いよ!」
僕は慌てて否定した。
「あ・・・矢野くん!?////」
「え、そうだけど・・・どうして僕の名前・・・」
「え!?あ、えっと・・・前に委員会が一緒だったから覚えてただけで・・・」
やばい、僕覚えてない・・・
けど委員会で同じってことは去年?
基本そんな面倒臭いことしたくないから心当たりがあるとしたらそれくらい。
「えーと・・・」
「お、覚えてないよね!ごめんね!よく考えたら話した事なかったし!」
「そ、そっか・・・」
話を遮るかのようにチャイムが鳴った。
「うわ、やべ!急がねぇと!」
「だから言っただろ!?」
僕も慌てて教室に戻る。
何とか間に合った。
「なぁ、綾斗。」
柊が隣からコソコソと話しかけてきた。
「なに?」
「ほんとにさっきの子覚えてないのか?」
僕に取られそうで怖いのかな?
そもそも僕の好きな人は柊なんだけど・・・
ここは2人を応援するしか・・・
「柊、安心しなよ。僕はあの子とは何も無いし、タイプじゃないから。応援するよ!」
「あ・・・そっか・・・いや、そういう意味じゃない。別にあの子じゃなくて俺はお前が・・・」
「いいって隠さなくても。可愛かったもんね。頑張れ。」
「・・・。」
ショック受けると思ったけど案外平気だった。
だって勝ってっこないもん。
可愛いし。
僕男だし。
逆に吹っ切れたかも。