第4章 僕の従兄弟
「すー・・・はぁー・・・」
駅のホームに立ち、大きく深呼吸をする。
もうすぐ柊が来る。
いつもならしているイヤホンを今日は外して柊を待つ。
昨日話したんだ。
きっと大丈夫。
こうなってしまったのも自分が原因だ。
だったら自分で解決しないと。
「おはよ!」
柊の声だ。
「おはよっ・・・」
振り向くと柊はいつもの笑顔で、僕の頭を撫でていた。
その手が暖かくて大きくて、僕に安心感を与えてくれる。
まるで大丈夫だと言ってくれているかのように。
僕も自然と笑顔になっていた。
普段は笑顔を作ろうと必死になるのに。
僕は偽りの表情は苦手だ。
全部顔に出る。
だから兄さんにもバレるんだ。
「落ち着いたみたいだな。」
「う、うんっ////」
よく考えたら頭撫でられてるんだ。
僕は顔が徐々に熱くなっていくのが分かった。
「どうした?・・・あ!ごめんっ!嫌だったよな!」
柊は慌てて手を退かした。
嫌じゃない。
嬉しい。
「大丈夫・・・電車来たよ。」
まだ頭に感触が残る。
柊との距離が戻ったと言うよりも少し縮まった気がした。
「仁達・・・僕の事嫌いになったかな・・・」
「アイツらはそんな奴じゃないよ。寧ろずっと心配してた。綾斗から声かければきっと安心する。」
そうだよね。
きっと大丈夫。
「柊って優しいね。」
「え?そうか?」
「うん。だからモテるんだろうね。」
「そんな事ねぇよ。好きな人からは見向きもされてねぇから。」
やっぱり好きな人いるんだ。
けど、見向きもされないってことは片想いなのかな?
どんなにイケメンでも失恋ってあるんだ。
「僕だったら絶対OKするのに。」
「なんか言ったか?」
「え!?ううん!なんでもないよ!」
思わず言葉に出てた。
危ない危ない。
柊のタイプってどんな人なんだろう。
気になるな。
昨日まで長く感じた電車通学が今日は元に戻っていた。