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【R18】初恋を君に

第4章 僕の従兄弟


寄り道をせずに家まで真っ直ぐ帰ってくると、部屋には兄さんがいた。
顔は怒ってる。
今日もまた傷が増えるのかな。

「ただいま。兄さん。」

「おかえり、綾斗。クリスマスの件だけど・・・」

「うん・・・」

「俺の事気にせずに遊んできなよ。時間も何時まででもいいし、別に怒らないよ。」

「え・・・」

あんなに怒ってたのに。
柊とのデートは無くなると思ってたのに。
どうして急に。

「ほんと?」

「本当だよ。ただし、今週末は何があっても俺の言う事聞く事。」

それだけ?
いつもと同じ事じゃん。
それなら遊んでいいの?

「わかった。ちゃんと聞くよ。」

「じゃあ、土曜日と日曜日は空けといてね。」

兄さんは何もせずに出ていった。
今日は殴られなかった。
もう許してくれるのかな。
これ以上痛い思いはもうしなくて済む。
よかった。

柊達ともまた元に・・・

戻れるかな?
あんな態度を取って傷付けた。
きっともう・・・

鞄を机に置いた時、携帯が鳴った。
電話だ。
柊からだった。

「もしもし?」

「よかった、出てくれた。何度もごめん、執拗いかもしれない。けど放っておけないから。」

「・・・また傷のこと?」

「うん。綾斗は嫌かもしれないけど俺は見て見ぬふりするのも嫌だ。だから、教えて欲しい。もしまだそれが無理なら少しずつでいいから話して欲しい。」

こんなに心配してくれてるのに僕は・・・
言わなきゃ。
謝らなきゃ。

「柊、ごめん。あの時怒鳴っちゃって。仁達にも迷惑かけちゃった。でも、言えない。友達だから・・・友達だと思ってるからこれ以上心配かけたくないんだ。」

「わかった。でも、いつか聞かせて。綾斗のタイミングでいいから。俺はお前が・・・その・・・友達・・・だと思ってるから。頼って欲しい。」

「うん。・・・クリスマス、楽しみにしてる。」

「俺もだよ。」

柊にちゃんと謝れた。
ずっと言えなかったからスッキリした。
今まで通りに兄さんの言うことを聞いてれば、僕は・・・

既に頭の中はクリスマスパーティーの事でいっぱいだった。
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