第4章 僕の従兄弟
土日、ゆっくり休めなかった。
ずっと兄さんの機嫌を損ねないように気を張っていたから寝不足状態だ。
「綾斗?」
「あ、ごめん。なに?」
「大丈夫か?今日ずっと上の空状態だな。クマも酷いし。」
仁と柊が昼食を取りながら心配してくれる。
「うん。心配ないよ。」
「だったらいいけど・・・その傷どうしたんだ?」
「頬腫れてるし。」
顔の傷は引いて来ていた。
ただ、頬の腫れは中々治まらない。
「ちょっと階段でドジした。すぐ良くなるから大丈夫。」
「そっか。」
「階段でドジったって・・・綾斗何してんだよ(笑)」
仁が想像したのか笑い始めた、
柊も初めは心配そうだったけど、クスッと笑った。
変に心配かけたくなかったからよかった。
「笑わないでよ、結構痛かったんだよ。」
「ごめんごめん。そう言えば、綾斗ってバスケしてる時も転けてたよな?運動とか苦手なの?」
「得意じゃないかな。」
仁が話を変えてくれた。
このまま傷の話はしたくなかった。
あまり勘づかれると兄さんになんて言われるか。
「あ、そうだ。仁。24日の事だけど、僕行くよ。」
「お、まじ?!よし!真織は?」
「俺も行くよ。」
友達とのクリスマスパーティーは許してもらえた。
けど、柊とのデートはあまり気が乗らないようだった。
これで柊と過ごしたら、次は殺される。
昼食を食べ終え、教室に戻る。
「お!なぁお前ら聞いてくれよ!綾斗のあの傷!階段でドジしたってよ!」
「な!仁!?////」
「まじかよ(笑)」
「矢野派手にいったな(笑)」
「恥ずかしい////」
あんなに嫌だった学校が楽しい。
早く家に帰りたいって思ってたのに、今は帰りたくない。
もっと皆と一緒にいたい。
帰ればまた兄さんがいる。
午後の授業もあっという間に感じた。
あとは帰るだけか。
「はぁ。」
電車の中で溜息を吐く。
「どうしたの?」
「え、いや何もない!」
勘づかれないようにしないといけないのに。
「・・・綾斗、カラオケ行かない?」
「え?」
「俺ちょっとストレス発散したくてさ。駄目か?」
「う、ううん!いいよ!」
僕も少し発散したいかも。
それにあまり早く帰りたくなかった。