第4章 僕の従兄弟
「ただいまー。」
母さんと父さんが帰ってきた。
「おかえり!2人とも!」
「おかえりなさい・・・」
2人とも飲んできたのかな・・・
顔が真っ赤だ。
「あれ・・・綾ちゃん、顔どうしたの?」
「これは・・・学校で友達と遊んでたら階段踏み外しちゃって・・・大した事ないよ?」
「そう?痛みはないの?」
「う、うん!平気・・・」
本当は全然平気じゃない。
すごく痛い。
「気をつけなさいよ?」
「ごめんなさい。」
母さんと父さんは直ぐにお風呂に入って眠ってしまった。
僕もご飯を食べ終わった後、直ぐに部屋に戻った。
ベッドに携帯を置きっぱなしにしてたようで、携帯には通知が貯まっていた。
『綾斗はどこに行きたい?』
柊からだ。
その1時間後。
『綾斗?寝た?』
その後すぐに電話が何件も来ていた。
柊に電話をかける。
流石に遅いかな?
もう何時間も経ってる。
「もしもし・・・」
『綾斗!?よかった、電話出てくれて・・・』
「ごめんね、寝ちゃってた。」
『なんだ・・・心配した。』
心配?
「どうして?・・・」
『いつもなら返信に1時間もかからないから。帰り道に何かあったんじゃないかって・・・とりあえず何ともなくてよかった。』
柊の声は安心しているようだ。
本当に心配だったんだ。
「ごめん、心配かけて。」
柊と電話するのは初めてだ。
こんなに声を耳元で聞いたのは初めてだ。
ドキドキする。
『それでさ!』
柊が楽しそうに話してくれる。
ほんとに話が耐えない。
凄い。
「綾斗?」
「っ!」
兄さんがドアの前に立ち声をかける。
「な、なに?」
「誰かいるの?」
「いないよ・・・電話してた。」
『綾斗?どうした?』
柊にはバレたくない。
「柊、ちょっと電話切る。」
『あぁ。長くなってごめんな。また月曜。』
「うん。月曜。」
兄さんが部屋に入ってくる。
顔が怖い。
また怒ってる?
「電話?誰?もしかしてさっき言ってた人?」
「・・・うん。電話がかかってきてて。」
「ふーん。そっか・・・。」
「に、兄さん・・・柊には何もしないで。アイツは悪くないから。」
嫌な予感がする。
さっきの目・・・
「大丈夫だよ。何もしないから。綾斗はもう寝な。」
「うん・・・」
殴られなかった・・・
もう嘘は付けない・・・