第2章 柊真織という男
「じゃあまたね。」
「おう。気をつけろよ!」
柊とは反対方向に向かい家に帰る。
けど、今日はいつもならスルーするはずのドラッグストアに足が止まった。
僕の足は勝手に店の中に入っていった。
そしていつの間にか洗剤コーナーに。
「・・・いっぱいある・・・」
端から順番に柔軟剤の匂いを嗅いでいく。
これも違う。
もっと柔らかい匂いだ。
どれだろう。
「・・・あ・・・これかな?」
今まで嗅いだ中で1番近い匂いのものを手に取りレジに向かう。
・・・僕何してるんだろ。
ふと我に返る。
「お客様?」
「あ、はい!」
慌ててレジの前に行き、お金を払う。
買ってしまった。
同じ匂いの買ってなにしてるんだろ。
柊を好きすぎる自分に呆れながらトボトボと帰る。
「ただいまー」
「おかえりー。あれ?それもしかして柔軟剤?」
「え・・・そうだけど。」
お母さんが僕の手の袋を指さす。
「ちょうどよかったー!無くなりそうだったの!ありがとう!」
「あ・・・うん。」
結果オーライだった。
確かにこれ買ったところで僕だけでどう使うのって感じだし。
「今から洗濯回すから洗濯するもの入れててね。」
「うん。」
僕は鞄の中を探り、タオルを取り出し最後に匂いをもう一度嗅ぎ、洗濯機に入れた。