第2章 柊真織という男
「綾斗ー遅刻するわよ?」
母さんの声が聞こえてきて目が覚める。
時刻は5時50分。
電車の時間まで後40分しかない。
「わぁ!最悪っ!」
慌てて準備をして家を飛び出す。
変な夢を見たせいだ。
どうしてあんな夢・・・
『ごめん、綾斗。その気持ちには答えられない。』
あぁぁ!思い出したくないぃ!
柊にフラれる夢だ。
目覚めは最悪。
オマケに寝坊に寝癖。
ツイてないな。
「綾斗ー!」
柊がホームに立って手を振る。
今1番見たくない顔。
「お、おはよ・・・」
「寝坊?」
「うん・・・////」
マフラーに顔をうずめて頷く。
「ぷはは。お疲れ様。」
「・・・誰のせいだと・・・」
「なに?」
「なんでもない!////」
「そっか。」
言えるわけない。
改めて恥ずかしくなり顔を隠す。
「なにやってんの?(笑)」
「え、いや、寒いなーって・・・」
「ぷはは。綾斗は本当可愛いな。」
か、かわっ!?
「う、うるさい////」
「ごめんごめん(笑)」
柊真織という男は平気でこんなことを言う鈍感タラシだ。