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【R18】初恋を君に

第15章 2人の未来


綾斗side

「にいさ・・・お願い・・・目を覚まして。」

僕の服を脱がせ、ゆっくりと身体を宥めていく。
まだ少し正気はあるはず。
もし、もう手遅れなら既に僕は気を失っている。

兄さんがそうしないって事は、まだ、心のどこかで本当の感情が制御しているってことだ。

「綾斗・・・俺は絶対離れない。」

どうしたらいい。
兄さんを説得するにはどうするのが一番いい?

「俺は綾斗の兄なんだ。なんでも知ってる。だから離れていいはずがないよね?」

「・・・違う・・・」

「は?」

「違うよ・・・あんたは・・・僕の兄さんじゃない・・・」

そうだ・・・
僕の本当の兄さんは・・・

「皇さん・・・目を覚まして・・・僕の本当のお兄さん。お願い・・・」

「・・・兄さんって呼べって・・・言ったよね?」

急に首元に手が回る。
次こそは間違いなく殺される・・・
少しずつ力が強まってきた。

「うっ・・・こう・・・さん・・・僕は・・・絶対に1人にしないから・・・ずっと皇さんの・・・兄さんの弟だからっ・・・」

「うるさいっ!やめろ!」

「また・・・昔みたいに・・・暮らそう?・・・あの写真みたいに・・・」

先程のアルバムに指を指し兄さんの目線を向ける。
兄さんの手の力が弱まってきた。

「昔・・・みたいに・・・?」

「うん・・・でもその為には・・・兄さんが強くならないと・・・ずっと弱いままじゃ駄目だよ・・・だから・・・」

隙を見て兄さんの下から這い出る。
少し喉が痛いのを我慢して、アルバムから一枚の写真を抜き取った。
2人で笑顔で水遊びしている写真だ。
僕はまだ小さくて兄さんに抱っこされている。

「病院に行こ?僕も付いてるから。」

兄さんにその写真を手渡すと、涙をボロボロと流し始めた。
目の色が戻っている。
僕の大好きな兄さんだ。

「綾斗・・・ごめん・・・約束したのに・・・また暴走しちゃった・・・」

「いいんだよ・・・兄さんは悪くない。」

僕はそっと兄さんを抱きしめると胸の中で声を上げて泣き出した。
ずっと苦しかっただけなんだ。
辛かっただけなんだ。
ただ、それだけ。

後ろの扉が開くのが見えたがすぐに父さんだと分かり、しっ、と人差し指を口元に当てると安心したように扉を閉め出ていった。
暫く、兄さんが落ち着くまでこうしていよう。
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