第15章 2人の未来
部屋に入ると兄さんは僕との思い出の写真を見ていた。
まだ僕が小さい頃の写真だ。
横から覗くとどれも2人で楽しそうに写っている。
あんな怖い兄さんの面影はひとつもない。
そうだ、僕はこんな風にまた兄さんと過ごしたいだけなんだ。
「ねぇ、兄さん。話があるんだけど。」
「どうしたの?」
「兄さん、僕に何か隠してない?身体の事。」
「・・・どうして急に?」
やっぱり簡単には話してくれない。
1番は自分から申告してくれるのがいいのだけど。
病院に治療させてもらいやすい。
「自分じゃない誰かがいるような・・・そんな感じない?」
「・・・あれは全部俺だよ。俺の意思で動いてるだけ。」
「兄さん、お願い。正直に話して欲しい。これから僕達が平和に暮らしていく為に。」
開いていたアルバムを閉じ、兄さんが下向いていた顔を上げた。
「はは・・・あーあ。綾斗・・・俺の中には俺しか居ないんだよ。俺じゃない誰かなんて存在しない。」
目の色が変わった!
どうして急に・・・っ!
「・・・兄さん・・・」
手が震えて上手く言葉が出ない。
どうしよう、怖い。
「綾斗?震えてるよ?可愛い。」
兄さんは僕に近づき手を握ってきた。
動けない。
「に、にいさ・・・病院・・・行こ?」
「・・・は?なんで俺が?」
「きっと兄さんは病気なんだよ・・・心の・・・しっかり治療受けて治してもらおう?ね?」
「違う・・・俺は病気なんかじゃ・・・」
「僕もついて行くから。だから・・・」
兄さんの手を握り説得を試みた。
けど、それは叶わず・・・
バシン!
「っ!」
頬に激痛が走った。
ダメだった・・・
また暴走してる。
真織に連絡を入れようと携帯を取り出したが、兄さんに勘づかれてしまい取り上げられた。
「また・・・柊真織・・・ムカつく・・・」
そう言って、僕の携帯を投げた。
まずい・・・このままじゃまた・・・
「綾斗・・・じっとしててね・・・」
僕に馬乗りになり、手を押さえつけられた。
動けない・・・
真織・・・