第14章 本音と嘘
仁には全てを話した。
声が少しずつ出るようになってきたけど、まだゆっくりでしか話せなかった。
「ごめん、辛かったよな。話させて。」
「ううん・・・仁の、おかげで・・・決心がついた・・・」
母さんと父さんにも話すことにした。
勿論、怖い。
2人がどんな顔をするか。
真織だってショックを受けるに違いない。
それでもこの先、真織と幸せになる為だ。
仁だって付いていてくれる。
「真織・・・僕の事、嫌いになるかな・・・」
「きっと大丈夫。アイツなら正直に話してくれた方が嬉しいと思うよ。それに、何かあったらまた話聞くし。・・・てかそれでアイツが綾斗の事嫌いになったら俺が1発殴る。」
「そこまで、しなくて、いいよ・・・」
嫌われても仕方ないと思ってる。
真織以外の人とあんな事したんだ。
「そろそろ帰るな。・・・兄さん、来てるのか?」
「うん。毎日来てるよ。」
「・・・1人でも平気か?」
「平気だよ・・・慣れてるから。」
仁は心配したように顔を歪め、帰って行った。
その後、タイミングを見計らったように兄さんが入ってきた。
「今の友達?」
「うん・・・」
「声出るようになったのか!?」
「さっきね。」
「よかった・・・」
最近、兄さんが優しくなった。
昔の兄さんに戻ったみたいだ。