第14章 本音と嘘
「俺達、友達じゃなかったのか?」
「仁っ・・・どうしてここに?」
「松村にああ言ったものの、気になって付いてきたんだ。そしたら病院に入っていくの見えたから。」
病院の外で仁が壁にもたれかかって手を組んでいた。
部活は行かなかったのだろうか。
「部活は?」
「休んだ。・・・綾斗は?」
あまり仁には話したくなかった。
余計な心配をこれ以上させると大事な試合があるのに支障が出るかもしれなかったから。
「自殺未遂・・・首吊ってたらしい。今は体調は問題ないらしいけど、ストレスで一時的に声が出なくなってる。」
「どうしてそんなことしたんだ?イジメ受けてる感じはなかった。虐待か?」
「・・・話してくれない。綾斗のお母さんにあったことあるけど、そんなことしそうにない人だった。・・・何となく理由は分かってるけど、本人が話してくれないから何も動けない。」
さっきはお兄さんが居なかったからチャンスだと思ったのに、やっぱり話してはくれなかった。
別れる話も結局お互いが納得出来ていない。
きっとあの人に何か弱みを握られているんだ。
「そっか。俺も綾斗に会ってくる。暫く顔も見てないし。」
「わかった。」
「真織、元気出せ。お前も暗くなってちゃダメだろ。早く綾斗を楽にさせてやろうぜ。俺も協力するし。」
「ありがとう。」