第14章 本音と嘘
「ごめんな、気づいてやれなくて。ずっと苦しい思いしてたんだな。」
僕は抱き着いてきた真織を引き剥がし、首を横に振った。
『全部僕が悪い。僕が兄さんを苦しめていた。』
「は?何言って・・・」
僕は兄さんとの出会いから全て話した。
どうして家族になったのか、どうしてこんなことになってしまったのか。
僕が兄さんを1人にしなければこんな事にはならなかった。
僕の我儘がこんな事を招いた。
『これからはちゃんと家族を大事にしたい。』
「それでお前は良いのかよ。」
『家族が幸せならそれでいい。今まで通り過ごしたい。』
「・・・だったらなんでそんな悲しそうなんだよ・・・」
これから先、幸せに暮らすにはこうするしかない。
『真織_____
別れよう。』
「は?そんなの絶対認めねぇっ・・・」
『真織は僕が死んでもいいの?』
「そんな訳ないだろ!ずっと一緒に幸せにいて欲しいに決まってる!」
『じゃあ別れて欲しい。』
もうこれしか方法はない。
やっぱり怒るよね・・・
あまりにも勝手すぎる。
そんなのは分かってる。
・・・真織にも心配をかけない。
これ以上、家族にも迷惑をかけない。
「そんなの・・・泣きながら言うことかよ・・・」
真織は黙って病室を出ていった。
ごめん。
ごめんね、真織。
泣かないって決めてたのに。
やっぱり初恋なんだもん。
本気だったんだもん。
辛いに決まってる。
溢れる涙を抑えきれず、真織に向けた最後の文字が滲んでいく。
「うっ・・・あぁ・・・ひっ・・・」
どうして声出てくれないんだよ。
最後くらい、真緒と話したかったのに・・・