第14章 本音と嘘
「綾斗、何か食べたいものある?」
母さんと父さんは学校へ連絡を入れるからと言って病室を出ていった。
兄さんが残ってくれて、僕の手を握りしめていた。
今は何も食べたくない。
真織と話したい。
きっと心配してる。
『僕の携帯は?』
用意してくれていたノートとペンで兄さんに尋ねる。
「こんな時に携帯なんて・・・今は安静にしてろ。テレビ着けよう。」
兄さんは僕に誰にも連絡を取らせない気だ。
特に真織とは。
兄さんは1人になるのが怖いだけなんだ。
折角手に入れた幸せをまた失うのが怖い。
だったら・・・
1番いい解決策はひとつだけ。
僕は兄さんの腕を引っ張り、抱きしめた。
「綾斗?どうした?」
『これからも兄さんの傍にいるから。絶対に離れないから。ごめん。』
「・・・俺もごめんな・・・こんなはずじゃなかったんだ。綾斗がいなくなるのが怖くて。また1人になんるんじゃ無いかと不安になったんだ。けど、いくらなんでも弟にこんな事酷すぎるよな。」
兄さんは反省している。
今までの事も。
僕が兄さんの傍から離れなければ大丈夫。
母さんたちには何て話そう。
きっと問い詰められる。